西日本皮膚科
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シンポジウム
ステロイド稗粒腫
辻 卓夫格谷 敦子田中 律子幸野 健濱田 稔夫
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1986 年 48 巻 3 号 p. 454-460

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抄録

長期間ステロイド外用後に生じた稗粒腫について述べた。患者はいずれも老人(63∼85才)で男子6人, 女子3人からなり, 湿疹皮膚炎群, 乾癬, 白斑などの治療に種々のステロイドを1∼13年(平均6.3年)使用し続けていて稗粒腫が出現してきた。稗粒腫の出現部位はステロイド外用部位に限られるが, とくに前頸部から上胸部に好発する。稗粒腫の存在する部位には必ず皮膚の萎縮と毛細血管拡張がみられ, これらは稗粒腫の出現に先行する。組織学的特徴は表皮性嚢腫の像をとり, その内腔は角質成分で満たされ, しばしば毛を含む。生検した17個のうち15個(88%)は毛包由来で残りは由来不明であつた。これらの稗粒腫の発生機序ならびに本来の稗粒腫(原発性および続発性)との相違などについても記述した。

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© 1986 日本皮膚科学会西部支部
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