西日本皮膚科
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研究
皮膚血管炎の臨床的研究
第3編 臨床, 経過および予後
宮澤 仁加藤 一郎斉藤 隆三
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1986 年 48 巻 6 号 p. 1094-1100

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抄録

昭和46年より昭和59年12月末の間に当科を受診し病理組織学的に確定診断した結節性動脈周囲炎皮膚型(PNC)10症例を集計検討し, つぎのような結果を得た。
1) 男女比1:4
2) 発症年令は10才代∼50才代でとくに好発年令はない。
3) 誘因は認めない。
4) 皮膚症状は結節10例, 網状皮斑6例, 潰瘍2例, 紫斑1例である。
5) 皮膚外症状は関節痛4例, 筋肉痛3例, 微熱4例を認め, いずれも一過性で病勢に相関して出現する傾向にあり, 前三者は結節出現部位に限局する。
6) 一般臨床検査成績は, ほぼ病勢に相関して炎症反応陽性をみるが, その他はいずれも一過性で特徴的所見に乏しい。
7) 経過観察期間は, 5ヵ月∼12年10ヵ月で平均5年2ヵ月。古典的PNへの移行は認めない。
8) 全体の経過として1∼2年のうちに長期寛解へいたる場合と, 増悪を繰り返しながら慢性に経過する場合がみられるが, その差異は不明である。
9) 増悪因子は疲労, 寒冷, 月経が認められた。

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© 1986 日本皮膚科学会西部支部
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