西日本皮膚科
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症例
晩発性皮膚ポリフィリン症の7例
野中 薫雄大神 太郎吉田 彦太郎村山 史男山下 和徳計盛 幸子豊島 弘行
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1987 年 49 巻 1 号 p. 28-34

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抄録

Porphyria cutanea tardaの7例を報告した。全例男子例で, 年令的には47才から69才であつた。7例中6例はアルコール摂取歴が認められたが, 症例4の1例のみはアルコール摂取について不明確であつた。患者は5人が長崎県在住, 2例は佐賀県在住であつた。皮膚所見では7例すべてに, 色素沈着, 瘢痕, 糜爛, 皮膚の脆弱などがみられ, そのほか2例に多毛, 2例に稗粒腫が認められた。光線過敏状態は2例に認められ, 日光曝露による皮疹の増悪に患者自身が気づいていた。ポルフィリン体測定値では, 7例中6例は尿中ポルフィリン体排泄量が500μg/L以上でUP優勢の排泄像を示していた。しかし, 1例は200μg/L以下の排泄量であつたが, UP優勢像であつた。糞便ポルフィリン体では, 6例中3例は100μg/g dry weight以上の排泄量を示し, かつCP優勢像を示していた。また2例は50∼100μg/g dry weightの排泄量であつたが, 1例はCP優勢, 1例はPP優勢像を示していた。1例は50μg/g dry weight以下の排泄量であつたが, CP優勢であつた。血液ポルフィリン体は6例とも正常域内であつた。生化学的所見では, 血清鉄は7例中2例が200μg/dl以上の高値を示したにすぎなかつた。肝機能検査では, 全例になんらかの異常値を認めたが, いずれも軽度の異常にとどまつていた。免疫グロブリン値では測定した5例中2例に2,000mg/dl以上のIgG値の上昇をみた。

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© 1987 日本皮膚科学会西部支部
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