1987 年 49 巻 2 号 p. 266-269
右下肢および右手背に生じたスポロトリコーシスの2例について報告した。症例1では腫脹, 硬結, 瘻孔がみられ足菌腫が疑われた。また症例2では, 比較的明瞭な紅斑が存在したことより接触皮膚炎を思わせた。しかし両症例とも病理組織学的にリンパ球, 好中球, マクロファージ, 巨細胞よりなる肉芽腫の像を示し, PAS染色で菌要素が観察された。培養でSporothrix schenckiiと同定, 本症と診断した。症例1ではステロイド長期内服, また症例2では抗生剤外用による処置が特異な臨床像をとらせた要因となつたものと思われた。