西日本皮膚科
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統計
転移性皮膚癌の統計的観察
堀 真山城 一純鳥山 史入船 弘子吉田 彦太郎
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1987 年 49 巻 2 号 p. 304-310

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抄録
西日本皮膚腫瘍研究会に属する15施設から提供された75症例の転移性皮膚癌について統計的検討を加えた。75症例中23例は肺癌の, 15例は胃癌の皮膚転移であつた。肺癌ではそのうちの18例が頸部, 頭部への転移であり, 胃癌では10例に腹部皮膚への転移がみられた。原発巣が発見されてから転移巣が出現するまでの平均期間は肺癌13例で7ヵ月, 胃癌11例で24ヵ月であつた。しかし肺のsmall cell carcinomaの3例では1.6ヵ月ときわめて短期間で皮膚転移をきたした。少数例ではあるが, 甲状腺癌の3例で13年, 3年, 1ヵ月と一定しないが長期例がみられ, 膀胱癌の2例で, 転移巣が先に発見された1例と原発巣発見後5ヵ月と, 転移期間の短い傾向がみられた。皮膚転移巣が原発巣より先に発見された症例は肺癌23例中10例, 胃癌15症例中4例であつた。その胃癌4例中3例は病理組織学的にsignet ring cell carcinomaであつた。転移巣が発見されてから死亡までの期間は全症例の平均で11ヵ月であつた。しかし, 肺癌では平均4.7ヵ月, 胃癌では6ヵ月であつた。なお, 肺のsquamous cell carcinomaの3例の平均では3週間後に死亡し, きわめて短期間であつた。一方, 尿管癌の1例では12年6ヵ月と著しく長期間であつた。原発巣が発見されてから皮膚転移をきたすまでの期間と転移巣形成後に死亡するまでの期間に一定の相関は認められなかつた。
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© 1987 日本皮膚科学会西部支部
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