西日本皮膚科
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症例
境界型らいの2例
細野 久美子権 丙浩石原 勝SUN Chee-Ching野上 哲則左奈田 精孝
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1987 年 49 巻 3 号 p. 465-470

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抄録

症例1は27才フィリピン人女子。14才のときtuberculoid leprosy(?)と診断されている。約2年前より側頸, 躯幹, 上肢, 下肢に境界やや不明瞭な淡褐色斑, 小結節が多発, 散在する。左背, 左肘にはpunch out像を呈する環状局面がみられ, その周囲に衛星病巣を認めた。一部の皮疹では温·痛覚低下もみた。レプロミン反応陰性, FLA-ABSテスト陽性。組織像は真皮上層の組織球, 泡沫細胞浸潤で, periodic acid-carbol pararosanilin染色で泡沫細胞内に多数のらい菌を確認した。皮疹部のskin slit-smear法による塗抹標本のZiehl-Neelsen染色からも多数のらい菌が証明され, bacterial indexは4+ないし5+であつた。症例2は41才男子, 茨城県出身。約1年半前より両手指のこわばり感, しびれ感が出現, 約6ヵ月前より左上腕屈側, 左肘, 左前腕屈側に3個の紅斑が出現した。皮疹は比較的大型で, 境界は一部を除いてやや不明瞭であつた。前腕屈側の皮疹は中央がほぼ常色で環状を呈し, 外縁部および内側縁の一部は境界やや不明瞭, 皮疹部の痛覚低下を認めた。また両側尺骨神経腫脹を触知し, 両側手掌, 足底, 左臀の無疹部の痛覚低下も認めた。レプロミン反応陽性, FLA-ABSテスト陽性。組織像は主として神経周囲のリンパ球, 類上皮細胞浸潤で, らい菌は染色されず, skin slit-smear法からもらい菌は検出されなかつた。症例1はBL型, 症例2はBT型と診断した。あわせて病型による臨床, 検査所見の相違を述べた。

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© 1987 日本皮膚科学会西部支部
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