西日本皮膚科
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研究
天疱瘡における表皮細胞表面抗原の解析
青木 重信北島 康雄矢尾板 英夫
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1987 年 49 巻 3 号 p. 476-482

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抄録

全表皮ホモジネートから2%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS), 5%2メルカプトエタノール(2ME)含有中性トリス塩酸緩衝液(pH6.8)によつて抽出された蛋白中に, 尋常天疱瘡患者血清(PVS)および落葉状天疱瘡患者血清(PFS)と反応する抗原がイムノブロット法によつて認められた。これらのうち尋常天疱瘡(PV)および落葉状天疱瘡(PF)に特異的と考えられる分子量158kdのペプチドがPVSとPFSの各6例中各1例に認められた。このほかPVSおよびPFSの全例に正常ヒト血清(NHS)とも反応する抗原として, ケラチン線維蛋白と推定された数種のペプチドと分子量86kdと116kdの不明のペプチドも認められた。以上のことから, 分子量158kdのペプチドはPVおよびPFに特異的な抗原のひとつであると考えられた。PVおよびPFの各5例で特異的抗原を同定できなかつた理由として, 操作過程における天疱瘡抗原の失活あるいは天疱瘡抗原の多様性(heterogeneity)が考えられた。

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© 1987 日本皮膚科学会西部支部
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