西日本皮膚科
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研究
鞏皮症および肥厚性瘢痕病変部における経皮酸素分圧の低下
滝脇 弘嗣
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1987 年 49 巻 3 号 p. 492-498

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抄録

鞏皮症および肥厚性瘢痕病変部における経皮酸素分圧(tcPo2: 44℃加温)の低下を報告した。全身性鞏皮症8例の手背では40±11.5mmHg(対照: 64.0±7.3mmHg), 肥厚性瘢痕8例では39.6±11.9mmHg(69.6±4.7mmHg)で有意の低下を認め, モルフィアの少数例も病変部で同様な結果を得た。また低下の程度は臨床的な硬化の程度と比較的並行した。同時に行つたレーザードプラ血流計を用いた同部皮膚血流測定では, 非加温時は対照との差異を認めなかつたが, 局所加温時は硬化病変部で有意の低下がみられ, tcPo2とも相関した。以上の成績から, これら病変部では局所加温による毛細血管の開大や血流増加が正常に比し弱く, 毛細血管のいわゆる“動脈化”が完全でないうえに, 毛細血管からの酸素拡散能の低下が相乗してtcPo2の低下を生起したものと推測し, tcPo2はこれら病変の硬化の程度を知るパラメータになりうると考えた。

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© 1987 日本皮膚科学会西部支部
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