西日本皮膚科
Online ISSN : 1880-4047
Print ISSN : 0386-9784
ISSN-L : 0386-9784
症例
腎移植後に生じた白癬菌性肉芽腫
久永 正穂津田 真五加治 英雅柳瀬 芳生
著者情報
ジャーナル 認証あり

1987 年 49 巻 5 号 p. 789-793

詳細
抄録

腎移植後, アザチオプリン, プレドニソロンの内服中に, 汎発性浅在性白癬と右下肢に白癬菌性肉芽腫を生じた25才男子の症例を報告した。浅在性白癬病巣, 爪および結節よりの膿汁, 組織片の培養からTrichophyton rubrumを分離しえた。ツベルクリン反応, 遅延型トリコフィチン反応とも陰性, DNCB感作不成立, OKT4/8比の低下など細胞性免疫能の低下がみられた。組織学的には皮下に少量の膿瘍を囲んで類上皮細胞, 巨細胞, 組織球, リンパ球, 形質細胞からなる肉芽腫がみられ, PAS染色にて膿瘍辺縁と肉芽腫内の巨細胞内外に菌要素を認めた。グリセオフルビンの内服4ヵ月にて略治した。本症例は典型的な汎発性白癬菌性肉芽腫とは少し異なつた臨床像を呈したため, 若干の考察を行つた。

著者関連情報
© 1987 日本皮膚科学会西部支部
前の記事 次の記事
feedback
Top