西日本皮膚科
Online ISSN : 1880-4047
Print ISSN : 0386-9784
ISSN-L : 0386-9784
研究
外用グルココルチコイド剤の培養ヒト皮膚線維芽細胞DNA合成におよぼす影響
—50%DNA合成抑制濃度比較による外用グルココルチコイド剤の臨床効果判定の可能性—
永井 隆荒瀬 誠治武田 克之
著者情報
ジャーナル 認証あり

1988 年 50 巻 2 号 p. 296-302

詳細
抄録

8種類の外用グルココルチコイド剤(以下GC剤)の, 培養ヒト皮膚線維芽細胞DNA合成に対する影響を, 0.1, 1, 10μg/mlの濃度で検討した。すべてのGC剤はこの濃度内でヒト皮膚線維芽細胞のDNA合成を濃度依存性に抑制した。GC濃度を対数でとり, コントロールに対する%DNA合成率をグラフにすると, すべてのGC剤で濃度の対数にほぼ反比例する直線となつた。このグラフよりそれぞれのGC剤について50%DNA合成抑制濃度を算出すると, 臨床効果の強い薬剤ほど低い濃度でDNA合成を50%抑制し, ほぼ臨床効果と相関する結果を得た。GC剤には各種の生物活性があり, 現在その効果判定はおもにin vivoの実験で行われ, in vitroでは決め手となる方法がない。それゆえここで得られた値はGC剤の総合評価にあたり, 指標の一つになりうると考えた。また本法を用いて, GC剤の臨床効果をin vitroで推察しうると考えた。

著者関連情報
© 1988 日本皮膚科学会西部支部
前の記事 次の記事
feedback
Top