西日本皮膚科
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統計
最近7年間における脂漏性角化症の統計的観察
山元 修平野 哲哉末永 義則
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1988 年 50 巻 2 号 p. 308-312

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抄録

最近7年間に産業医大皮膚科で経験した脂漏性角化症について統計的に観察し, 以下の結果を得た。
1) 7年間の脂漏性角化症の総例数は365名の患者より得られた404病巣で, 外来総患者数の2%を占めた。
2) 性差はほとんど認められなかつた。
3) 年令的に, 50∼70才代に好発していた。
4) 組織型別頻度では, hyperkeratotic type 196病巣(48.5%), acanthotic type 132病巣(32.7%), irritated type 31病巣(7.7%), reticulated type 7病巣(1.7%), melanoepithelioma (Bloch) 6病巣(1.5%), clonal typeおよびstucco keratosisが各2病巣(0.5%), melanoacanthoma 1病巣(0.2%), combined type 24病巣であつた。
5) 組織型別発生部位では, 全体的に脂漏部位に好発していたが, hyperkeratotic typeでは四肢にも比較的多くみられた。
6) 臨床診断と組織診断の比較検討では, 臨床的に脂漏性角化症と診断された例の組織診断不一致例は29病巣で, lentigo senilisとverruca vulgarisが各4病巣, follicular poromaとsenile keratosisが各3病巣などであつた。組織学的に脂漏性角化症と診断された例の臨床診断不一致例は54病巣で, verruca vulgaris 20病巣, nevus pigmentosus 17病巣などであつた。

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© 1988 日本皮膚科学会西部支部
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