西日本皮膚科
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統計
山形大学医学部皮膚科教室10年の有棘細胞癌の統計的観察
麻生 和雄近藤 慈夫佐藤 紀嗣安斉 真一小幡 仁子青木 武彦山科 潮橋本 秀樹穂積 豊
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1988 年 50 巻 3 号 p. 466-471

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抄録

山形大学皮膚科の開設以来10年間の有棘細胞癌44症例につき統計的観察を行つた。1)有棘細胞癌の外来受診者総数に対する頻度は0.26%である。2)年令分布では60∼70才代にピークをみるが初診年令平均は66.0才, 男女比は1:1。3)発病から初診までの期間は平均18.1ヵ月。4)発症部位は顔面が最も多く, 頸部より上部が半数を占め, 5)発生母地としては熱傷瘢痕が多かつた。6)臨床分類では深行性癌が全体の半数を占め, 7)TNM分類ではT1N0M0, T2N0M0が大半で72.2%を占め, 8)組織学的分類でGrade 1, Grade 3が30%で多く, 9)組織学的レベル分類では診断可能例22例でレベルIIが最も多く約半数で, レベルIV以上で明らかに予後不良である。10)Cultler方式による生存率は5年生存で86.4%であつた。男女それぞれの5年生存率を同様の方法で求めると男子で76.9%, 女子で100%である。

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© 1988 日本皮膚科学会西部支部
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