西日本皮膚科
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症例
ループスアンチコアグラント陽性の下腿潰瘍
 
室 慶直安江 隆
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1988 年 50 巻 4 号 p. 631-635

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抄録

SLEなどの基礎疾患を有しないループスアンチコアグラント(LA)陽性患者に生じた下腿潰瘍の1例を報告した。患者は28才主婦で, 2回の自然流産歴がある。左下腿前面に発赤·腫脹·疼痛が出現し, 潰瘍化した。梅毒血清反応偽陽性, PT·APTTの延長が認められたので, 正常血漿添加によるAPTT補正試験を施行し, LAの存在を確認した。潰瘍部の組織像は鬱血性皮膚炎の像で, 血管炎は認められなかつた。下腿の静脈造影により左下腿深部静脈血栓症が確認され, 本症例の潰瘍はそれによる循環障害に起因するものと考えられた。免疫学的検査にて抗核抗体偽陽性, 抗ss-DNA(IgG)高値が発見されたが, LAが陽性となるような基礎疾患の存在は否定的であつた。

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© 1988 日本皮膚科学会西部支部
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