58才男子に生じた限局性類天疱瘡の1例を報告した。水疱は大きさが拇指頭大までの緊満性水癌で3ヵ月来右下腿に限局して出没を繰り返し瘢痕を残した。病理組織学的には表皮下水疱であり, 蛍光抗体直接法で皮疹部の表皮真皮境界部にIgG, C3の沈着が認められた。無疹部の蛍光抗体直接法はIgG, C3ともに陰性であつた。血清中の抗基底膜部抗体は正常人皮膚を基質とした時64倍まで陽性であつた。治療として, ステロイド軟膏外用, DDSおよびサラゾピリン内服を行つたが皮疹の改善は見られなかつた。初診後2年経た現在も右下腿に限局して水疱形成を認める。瘢痕の拡大あるいは増悪は見られない。