西日本皮膚科
Online ISSN : 1880-4047
Print ISSN : 0386-9784
ISSN-L : 0386-9784
研究
銀皮症における色素沈着についての実験的研究
—硝酸銀内服ウサギを用いて—
多田 有平高橋 伸也
著者情報
ジャーナル 認証あり

1988 年 50 巻 6 号 p. 1055-1059

詳細
抄録

0.2gの硝酸銀を含有するオリーブ油懸濁液を9羽のウサギに連日, 1日1回経口投与し, これを蛍光灯照射群6羽, 非照射群3羽の2群に分けた。オリーブ油のみを同様に投与する3羽のウサギからなる第3群をコントロール群とした。肉眼的, 光顕的ならびに定量的に, これら3群における皮膚および内臓の色素沈着と銀粒子沈着の相違を内服後40, 70, 125日目に比較検討した。成績は以下に示すごとくである。1)皮膚においては, いかなる時期でも3群とも臨床的になんら色素沈着はみられなかつた。しかし, 毛嚢の基底膜部に銀粒子がごくわずかながら見出され, 2∼5ppmの銀が硝酸銀を14g, 25g投与した場合検出された。2)腸管においては, 硝酸銀を14g, 25g投与後にごく軽度の色素沈着を認めたが, 皮膚におけるとおおむね同じ量の銀が検出されたに過ぎない。3)腎および肝では硝酸銀が8g投与された時点でさえ明らかな色素沈着が見られ, それは投与総量の増加とともにより強くなつた。腎における銀粒子の沈着は硝酸銀25gの投与では皮膚よりも髄質においてより多量に検出された。4)ウサギ皮膚が明らかな色素沈着を示さない理由としては, 外分泌腺であるエクリン腺, 脂腺を欠くためと考えられる。結論的には, 汎発性(全身性)銀皮症における青灰色色素沈着は主として銀粒子の沈着によるものである。

著者関連情報
© 1988 日本皮膚科学会西部支部
前の記事 次の記事
feedback
Top