西日本皮膚科
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症例
鼻唇溝に孤立性毛包上皮腫といわゆる皮膚混合腫瘍の合併を認めた1例
池田 光徳
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1989 年 51 巻 2 号 p. 246-249

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抄録

76才男子。14∼15年前より出現した右鼻唇溝部の結節を主訴として受診した。摘出標本の組織学的検索により, 毛包上皮腫といわゆる皮膚混合腫瘍との合併例であつた。後者はアポクリン腺への分化を示し, 両者の間には線維性の結合織による明確な境が認められた。これら2種類の皮膚付属器腫瘍の合併はきわめてまれである。同じ結節中に2種類の腫瘍が存在したことはこれらが同一の起源に由来することを示唆する。われわれはこれらがともに成年期になつてfacial cleft lineに発生することから, その起源をprimary epithelial germ cellのようなpluripotential cellと推測した。

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© 1989 日本皮膚科学会西部支部
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