西日本皮膚科
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症例
Follicular Atrophodermaを持つ中年男子にみられた多発性基底細胞癌
—Bazex症候群の不完全型か—
荒瀬 誠治中西 秀樹原田 伸重見 文雄武田 克之
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1989 年 51 巻 2 号 p. 250-255

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抄録

四肢伸側に毛孔性皮膚萎縮を持つ中年男子に基底細胞癌が多発した。他の5人兄弟には皮疹をみなかつたが, 母親にも同様の毛孔性皮膚萎縮をみたことよりBazex症候群が疑われた。毛孔性皮膚萎縮は幼児期より前腕, 下腿の伸側ではつきりしており, ほとんどに体毛を伴つたが一部では脱落していた。基底細胞癌は42才時より顔面に初発し, 以後, 頭頸部や限界線照射の既往がある躯幹にも多発した。以上の臨床所見と, 頭髪, 発汗の異常はみられなかつたことを考えあわせ不完全型のBazex症候群と考えた。なお患者は22才時, 尋常性乾癬のため躯幹に限界線照射を受けたが, 両部にも多数の基底細胞癌が出現したことより, Bazex症候群患者には放射線治療は禁忌と考えた。

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© 1989 日本皮膚科学会西部支部
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