51 巻 (1989) 5 号 p. 885-889
牛乳の摂取により, 口腔内違和感, 悪心, 嘔吐, 呼吸困難, 全身の蕁麻疹をきたした牛乳アレルギーの43才男子例を報告した。症状発現の抑制には, 抗ヒスタミン作用とchemical mediator遊離抑制作用とをあわせ持つketotifenが著効を示した。患者は乳幼児期には牛乳アレルギーの既往はなく, 小学生頃より牛乳摂取後に悪心, 嘔吐, 蕁麻疹をきたすようになり, 当科初診時まで乳製品は一切口にしていない。皮内テストでは, 牛乳, チーズ, 牛乳蛋白であるα-lactalbumin, bovine serum albuminに陽性であり, IgE(RIST)値は低値であつたが, 牛乳, α-lactalbumin, β-lactoglobulinに対する特異IgE抗体は高値ないしやや高値を示した。数種の抗ヒスタミン剤あるいはtranilastを投与しながら牛乳摂取を試み, それらの症状発現の抑制の程度を検討したが十分ではなかつた。この間に, IgE(RIST)値, 牛乳でのIgE(RAST)値は徐々に上昇した。内服をketotifenに変更したところ症状の発現は劇的に抑制され, 以後4年間に内服量を徐々に減量しても乳製品は普通に食べることができ, また, IgE(RIST)値, 牛乳に対する特異IgE値も徐々に減少してきている。