1989 年 51 巻 5 号 p. 913-919
38才女子。昭和60年5月に右鼻背部の腫脹が出現し, Wegener肉芽腫症が疑われた。その2年後, 再び右鼻背部から眼瞼にかけて浮腫性腫脹をきたし, 組織所見から, non-Hodgkin lymphoma, diffuse large cell type(T-cell type)と診断された。放射線療法とCHOP-Bleo療法の後, 原発巣はほぼ完全に消退したが, 引き続いて両下肢に, くるみ大から鶏卵大の結節性紅斑様の皮疹が出現した。個疹は治療に反応せず, 自発的な退縮と腫脹を繰り返し, 組織学的に, 血管周囲性に炎症所見を伴うlymphoma cellの皮膚浸潤が認められた。これらの皮疹に対し局所温熱と放射線の併用療法を施行したところ, 良好な結果を得た。