西日本皮膚科
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症例
Malignant Blue Nevus
福井 良昌松本 義也
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1989 年 51 巻 6 号 p. 1129-1133

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抄録

出生時より存在する顔面の青色母斑内に出現したmalignant blue nevusの1例を報告した。症例は59才男子で, 出生時より右前額から側頭部にかけて青色母斑が存在した。初診の約半年前より皮疹の中央部より腫瘤が出現し急速に増大してきた。悪性黒色腫の疑いで広範囲全摘と頸部リンパ節郭清を施行した。組織学的に, 周辺の色素斑部はcommon blue nevus, 腫瘤部は境界部活性を示さず, 表皮下にも一層のfree layerを持つmalignant blue nevusの所見を示した。腫瘍の主体は脂肪織下に存在した。電顕的には腫瘍細胞には種々の段階のプレメラノソーム, メラノソームが存在し, 成熟メラノソームの形態も不整であつた。免疫組織化学的に, 抗S-100蛋白抗体染色は弱陽性を示した。入院後, 全身検索中に早期胃癌が発見され根治的に切除できた。文献的に, とくにmalignant blue nevusの予後について検討し, 悪性黒色腫と同等か, より予後が悪いと考えた。

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© 1989 日本皮膚科学会西部支部
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