1990 年 52 巻 1 号 p. 12-16
Sjögren症候群を合併したSCLEと, 新生児LEの親子例を報告した。症例1, 33才女子。妊娠3ヵ月頃より, 躯幹に手掌大の環状紅斑が出現した。当科初診時抗核抗体640倍, 抗SS-A, SS-B抗体陽性。皮疹部の生検では過角化, 基底層の液状変性などをみとめ, SCLEと診断した。唾液腺生検, シアログラフィの所見より, Sjögren症候群の合併が示唆されたが, 乾燥症状は自覚されず, subclinical Sjögrenの状態と思われた。プレドニゾロン20mg内服で皮疹は消褪し, 妊娠の経過も良好, 39週で女児(症例2)を出産した。症例2, 生後1ヵ月頃より躯幹に母親にみられた皮疹と同様な環状紅斑が出現。抗核抗体160倍, 抗SS-A, SS-B抗体陽性。ECG上心ブロックは認めなかつた。皮疹は約1ヵ月の経過で消褪傾向を示し, 血清学的所見も正常化してきた。これらの症例の経験に基づき, SCLEの皮疹とSjögren症候群にみられる環状紅斑との異同について, 若干の考察をおこなつた。