西日本皮膚科
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症例
裂隙形成および異常角化細胞がみられたSeborrheic Keratosis
 
倉田 幸夫
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1990 年 52 巻 3 号 p. 484-487

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抄録

組織学的に多数の裂隙形成および異常角化細胞がみられたseborrheic keratosisの1例を報告した。55歳女子。臨床的には右上腕内側に生じた9×7mm, 境界鮮明な角化性鱗屑をつけた小結節で, 組織学的に腫瘍は上方に向かつて増殖し, 顕著な過角化と表皮肥厚を示した。増殖細胞は異型性のない基底細胞様細胞と有棘細胞様細胞からなり, 腫瘍巣の主に中·上層に多数の裂隙形成および異常角化細胞がみられ, 一部で胞体が空胞化した変性細胞が融合して裂隙·小腔を形成していた。少数のsquamous eddiesも散在性にみられたが, 典型的なacantholytic cellは認められなかつた。真皮上層では多数のメラノファージと軽度の炎症性細胞浸潤が認められた。以上の所見から, 自験例はirritated seborrheic keratosisの一亜型と考えられた。

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© 1990 日本皮膚科学会西部支部
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