西日本皮膚科
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研究
外用抗真菌剤の感染局所における抗菌活性に関する一考察
—皮膚透過性と角質への吸着性について—
有可 正羽瀬 豊治横尾 守
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1990 年 52 巻 3 号 p. 545-549

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抄録

Butenafine hydrochroride(KP-363; N-4-tert-butylbenzyl-N-1-methyl-1-naphthalene-methylamine hydrochloride)の皮膚への浸透性および貯留性を14C-KP-363を用い検討した。1%14C-KP-363 0.2ml(2mg)をモルモットの背部皮膚に6時間密封貼付した後の皮膚の各層への分布を検討したところ, KP-363は白癬の生息部位である角層を含む表皮層には50μg/g以上存在し, 貼布24時間後(貼付終了18時間後)でも表皮層には10μg/g以上の薬剤の残存が認められ, 本剤はbarrierを含む表皮層に貯留しやすいことが判明した。一方, 抗真菌剤と角質との吸着性をヒト毛髪粉末を用い検討したところ, KP-363, tolnaftate, clotrimazoleおよびbifonazoleは毛髪と強い吸着が観察された。毛髪に吸着したKP-363, tolnaftate, clotrimazoleおよびbifonazoleのT. mentagrophytesに対する抗菌力はそれぞれ4.0, 15.6, 62.5および62.5μg/g(毛髪)であり, サブロー液体培地で測定した抗菌力(0.0125, 0.05, 0.39および0.39μg/ml)に比べ減弱していた。しかし, 1%KP-363を塗布した場合に得られる角層中のKP-363濃度はT. mentagrophytesの発育を阻止するになお充分であることが明らかとなつた。

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© 1990 日本皮膚科学会西部支部
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