西日本皮膚科
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治療
血管障害に基づく皮膚病変に対するシロスタゾール(プレタール®)の使用経験
幸田 衞小野 雅史植木 宏明
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1990 年 52 巻 5 号 p. 1040-1045

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抄録

抗血小板作用と血管拡張作用を有するシロスタゾール(プレタール®)を, 各種疾患の皮膚小動脈障害に起因する様々な皮膚病変に使用した。症例は慢性関節リウマチ, リベドー血管炎, 動脈硬化症, 全身性鞏皮症などで, 四肢の皮膚潰瘍, リベドー症状, 冷感, しびれ感などを生じていた。冷感やしびれ感などの自覚症状は, 投薬開始後速やかに軽減した。リベドー症状や皮膚潰瘍にも有効であつたが, 慢性化した潰瘍の修復には長期間を要した。1年以上投薬し経過観察したが, 軽度の頭痛以外は顕著な副作用はなく, 出血時間は正常範囲内であつた。本薬剤は上記症状の治療に期待が持てる薬剤で, 慢性血行不全から血栓のような状態に陥いるのを防ぐのに役立つ, という印象を持つた。

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© 1990 日本皮膚科学会西部支部
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