西日本皮膚科
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症例
熱傷瘢痕癌の統計と興味ある症例
青野 誠一郎大森 正樹土井 聖末永 義則
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1991 年 53 巻 1 号 p. 35-40

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抄録

昭和54年7月から昭和63年6月までの産業医科大学皮膚科学教室における熱傷瘢痕癌について統計的観察を行い, 以下の結果を得た。(1)症例数は男子5例, 女子2例の計7例で, 外来患者総数の0.02%であつた。(2)年齢は36歳から65歳で, 平均56歳。(3)熱傷受傷年齢は, 1歳から18歳までで, 平均7歳。(4)癌診断確定までの期間は, 20年から62年で, 平均41年。(5)癌発生部位は, 頭部2例, 上肢2例, 下肢3例と, 四肢に多く見られた。(6)受傷原因は, 囲炉裏, ガソリン引火, 掘炬燵各2例, 石炭での火災によるもの1例であつた。(7)組織学的には, 全例が有棘細胞癌。(8)転移は, リンパ節転移が1例であつた。また, 熱傷瘢痕癌の2例を報告した。症例1は, 57歳女子。1歳時, 掘炬燵内に転落, 両下腿, 両足に火傷を受け, 55歳時, 瘢痕部に潰瘍出現。PMP療法, 腫瘍切除などを行つたが, 1年後死亡。症例2は, 58歳男子。2歳時, 掘炬燵内に転落, 頭頂部から前頭部に火傷を受け, 55歳時, 瘢痕部に潰瘍出現。PM療法, 腫瘍切除など行つたが, 2年5ヵ月後死亡。2例とも有棘細胞癌であつた。

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© 1991 日本皮膚科学会西部支部
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