西日本皮膚科
Online ISSN : 1880-4047
Print ISSN : 0386-9784
ISSN-L : 0386-9784
治療
Terbinafine(SF86-327)1%クリーム剤の1日1回塗布療法と1日2回塗布療法の比較試験
Terbinafine研究班
著者情報
ジャーナル 認証あり

1991 年 53 巻 4 号 p. 785-806

詳細
抄録

Terbinafine(SF86-327)1%クリーム剤の治療効果について皮膚真菌症に対する1日1回塗布療法と1日2回塗布療法との臨床的有効性, 安全性ならびに有用性を比較検討する目的で, 全国22施設共同のもとに試験を実施し, 以下の成績を得た。菌所見ならびに皮膚所見の結果を考慮した総合効果判定における有効率は, 足·手白癬群においては, それぞれ1日1回塗布群で72.2%, 1日2回塗布群で78.4%であった。生毛部白癬(体部白癬, 股部白癬)においてはそれぞれ81.6%と84.6%, カンジダ症〔カンジダ性指間びらん症, 間擦疹型皮膚カンジダ症(乳児寄生菌性紅斑を含む)〕群においてはそれぞれ85.3%と86.7%, 癜風群においてはそれぞれ93.3%と86.5%であった。すなわち, 4疾患群のいずれの疾患群においても二つの治療法群の双方において優れた治療効果が認められ, 二つの治療法群間に有意差はみられなかった。副作用については, 1日1回塗布群において148例中4例(2.7%), 1日2回塗布群において167例中6例(3.6%)に副作用がみられたが, 副作用の発現頻度に有意差は認められなかった。また, 試験薬剤に起因すると思われる臨床検査値の異常変動は, 両群のいずれの疾患群においても認められなかった。総合効果および安全性を考慮した有用率は, 足·手白癬群において1日1回塗布群で72.2%, 1日2回塗布群で78.4%であった。生毛部白癬群ではそれぞれ84.2%と87.2%, カンジダ症群ではそれぞれ85.3%と88.9%, 癜風群ではそれぞれ93.3%と89.2%であった。すなわち, 4疾患群のいずれの疾患群においても高い有用率が認められ, 二つの治療法群間に有意差はみられなかった。以上, 本剤の治療効果と有用率において, 1日1回塗布群と1日2回塗布群との間に有意差は認められず, 1日1回塗布療法は1日2回塗布療法とほぼ同等の治療効果をあげたものと考えられる。したがって, 本剤は1日1回塗布療法においても臨床的に有用性が期待できる薬剤であると考えられた。

著者関連情報
© 1991 日本皮膚科学会西部支部
前の記事 次の記事
feedback
Top