53 巻 (1991) 5 号 p. 915-921
紫外線UVB障害に対する生体防御について, 皮膚に内在するメタロチオネインをひとつの光防御因子と考え, カドミウムにより誘導されるメタロチオネインの抑制効果と有用性について論じた。メタロチオネインは特定の金属により細胞質内に誘導され, 選択的に金属と結合する。他方, システインに富み, 活性酸素のスカベンジャーとしての作用も期待できる。カドミウムはメタロチオネインの代表的な誘導剤であるので, カドミウムをマウスに投与後, UVBを耳介皮膚に照射すると, 表皮のsunburn cell形成が抑制される。また, カドミウム処理した培養細胞はUVB照射に対する抵抗性を獲得する。こうした光防御は-SH基の豊富なメタロチオネインの抗酸化能によるものと考えられている。すなわち, 誘導メタロチオネインは皮膚の内在性サンスクリーンになりうることが示唆される。内在性のサンスクリーンは, 安全性, 広範な紫外線照射に対応できる点で, 外用サンプロテクション剤を補い得る。臨床応用のためには, 生体に安全なメタロチオネイン誘導剤の選択が必要である。