西日本皮膚科
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症例
看護婦に発生した疱疹性ひょう疽の3例
千葉 紀子鈴木 秀美芹川 宏二須永 知子森田 誠関 建次郎
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1991 年 53 巻 6 号 p. 1163-1167

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抄録

口腔内にびらんのある白血病の患者の看護にあたった内科病棟の看護婦3名に相次いで疱疹性ひょう疽を発生した。症例1: 25歳, 右小指先端。症例2: 26歳, 両示指先端。症例3: 23歳, 右示指先端。いづれも疼痛の激しい発赤腫脹, 小膿疱, 小水疱の集籏で発症した。いづれも外傷等の既往はなかった。症例2ではHSV-1をFITC標識蛍光抗体法にて病巣水疱部より認めた。血清抗体価は中和法にてHSV-1が4倍以下より32倍に, HSV-1 IgG20倍より640倍に, 12日目に上昇を認めた。HSV-1 IgMは陰性で上昇を認めなかった。病棟勤務の看護婦10人についてHSV-1とHSV-2の血清抗体価の測定を行った。HSV-1では4人が4倍ないしそれ以下でありHSV-2は8人が4倍ないしそれ以下であった。これらのことから医療従事者は仕事を行う上で常に感染予防に注意をはらう必要がある。

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© 1991 日本皮膚科学会西部支部
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