1991 年 53 巻 6 号 p. 1198-1206
PSS 27例および年齢·性を一致させたcontrol 15例を対象に食道内圧を測定し, PSSの罹病期間, 臨床症状, 抗核抗体の型別との相関を検討した。結果, PSSはcontrolに比較して食道の中∼下部の内圧が有意に低下しており, PSSの食道内圧値は罹病期間, 皮膚硬化範囲, 肺線維症およびPSSの重症度(石川のscore値)と相関していた。以上より, 食道内圧値はPSSの内臓侵襲や重症度を知る指標となり得ると考えた。しかし, 萎縮期と考えられる症例で著明な低下を示したり, 胸やけの無い症例の中にも低下を示した例もあり, 興味深い。また, 粒良らが提案した食道X線毎10秒逐次撮影法をPSS患者に施行したところ, その所見と食道内圧値が有意な相関を示した。従って, 上記撮影法は食道内圧測定法同様, 食道収縮機能判定法として今後試みられるべき検査法と考えられる。