西日本皮膚科
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治療
Terbinafineクリームによる皮膚真菌症の治療成績
—Well-controlled comparative studyによるBifonazoleクリームとの比較試験—
Terbinafine研究会
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1991 年 53 巻 6 号 p. 1268-1287

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抄録

Terbinafine 1%クリーム(以下, TEBと略)1日1回塗布療法の, 足·手白癬, 体部白癬, 股部白癬, カンジダ性指間びらん症, 間擦疹型皮膚カンジダ症(乳児寄生菌性紅斑を含む)および癜風の治療における有効性と安全性を検索するため, 全国27施設からなる共同研究班を組織し, bifonazole 1%クリーム(以下, BFZと略)を比較対照薬として, 2群によるwell-controlled comparative studyを実施した。本試験における評価項目は原因真菌に対する真菌学的効果, 皮膚症状に対する改善度, 総合効果, 副作用, 有用性, その他の諸項目とした。回収された総症例数は566例(TEB群278例, BFZ群288例)であり, 有効性解析の対象になり得た症例数は510例(TEB群247例, BFZ群263例)であった。その結果によると, 股部白癬では菌陰性化率および総合効果において, TEB群がBFZ群に勝る傾向差が認められたが, 両群間に有意差は認められなかった。皮膚症状の改善度および有用性では両群間に有意差は認められなかった。また, 間擦疹型皮膚カンジダ症(乳児寄生菌性紅斑を含む)では皮膚症状の改善度, 総合効果ならびに有用性において, TEB群がBFZ群より有意に勝り, また菌陰性化率では, 傾向差が認められた。他方, 癜風では, 皮膚症状の改善度においてBFZ群がTEB群より有意に勝っていた。その他の最終評価項目においては, 両薬剤間に有意差は認められなかった。足白癬, 体部白癬およびカンジダ性指間びらん症においては, いずれの最終評価項目においても, 両薬剤間に有意差は認められなかった。副作用については, TEB群では265例中3例(1.1%)において発赤の増加, そう痒感および刺激(鱗屑増加)が認められた。BFZ群では279例中3例(1.1%)において接触皮膚炎, 発赤の増加および刺激症状が認められた。これらの副作用の発現率はいずれも低率であり, かつ両薬剤間に有意差は認められなかった。臨床検査値については, 両薬剤とも, 薬剤に起因すると思われる副作用は認められなかった。以上の成績から, 各種皮膚真菌症に対するTEBの1日1回塗布療法はBFZの1日1回塗布療法とほぼ同程度の, ないしはより優れた有用性を示したものと判断され, TEBは表在性皮膚真菌症の治療薬として有用な薬剤であると評価された。

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© 1991 日本皮膚科学会西部支部
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