52歳女子。以前より右下腿の静脈瘤症候群が持続していたが, 1年6ヵ月前よりこの病変の上方, 即ち右大腿部に潰瘍を伴う皮下の索状硬結が出現した。その組織像は, 真皮全層から皮下脂肪織にかけての多数の類上皮細胞性肉芽腫と小動脈の肉芽腫を伴う血管炎の像であった。同皮膚組織片の結核菌培養, Ziehl-Neelsen染色ともに陰性。ツ反強陽性。他臓器に明らかな結核病巣を認めなかった。以上よりバザン硬結性紅斑の診断のもとにINH 300mg, RFP 450mg/日内服を開始, 3ヵ月後には病巣部は完治した。自験例は下腿の静脈瘤症候群の上方, 即ち大腿に発生したこと, 組織学的に皮下から真皮全層にまでおよぶ類上皮細胞性肉芽腫がみられたことがバザン硬結性紅斑としては非典型と思われたので, 当科で過去16年間に経験したバザン硬結性紅斑11例について検討を加えた。その結果女子10例, 他臓器に明らかな結核病巣を認めたもの3例, 血栓性·増殖性の血管変化を認めたもの9例, 大腿のみに病変を認めたもの1例, 静脈瘤症候群を合併したもの3例であった。潰瘍化を伴うものは4例あり, このうち3例までに組織学的に真皮全層から皮下に及ぶ肉芽腫病巣を認めた。以上より, 本疾患における潰瘍形成は多発する類上皮細胞性肉芽腫の位置と循環障害性変化の強さに関係するものと考えた。