西日本皮膚科
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症例
脊髄損傷を伴った電撃傷
藤木 崇弘中村 猛彦木村 達小野 友道
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ジャーナル 認証あり

1992 年 54 巻 1 号 p. 27-32

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抄録

工事作業中, 6万6千ボルトの電線に接触し受傷した21歳男子の電撃傷の1例を報告した。患者は入院直後より激しい右鼠径部痛を訴え, さらに下血, 間歇的下腹部痛を認めた。入院時検査にて筋原性酵素の異常高値を認めた。しかし, 創部の所見からは明らかな骨格筋の損傷は確認できなかった。その後下肢筋力の低下, 回復の遅延を認め, 神経学的精査の結果, 脊髄損傷の存在が確認された。電撃傷における脊髄損傷の合併は, 欧米での報告はあるが, これまで本邦においては報告されていない。電撃傷において, 筋力回復の遅延, 知覚異常, 排尿障害などの異常所見を認めた場合には, 脊髄損傷も念頭におく必要があると思われた。

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© 1992 日本皮膚科学会西部支部
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