1992 年 54 巻 3 号 p. 434-436
23歳男子の前頸部に限局したsyringomaの1例を報告した。前頸部という発症部位に加え, 紅色ないし黄色の丘疹で, 一部に融合傾向がみられたことから, 臨床的にはpseudoxanthoma elasticumが最も強く疑われた。しかし, 予想に反し, その病理組織は典型的なsyringomaであった。Syringomaの好発部位は眼瞼が最も多く, 次いで胸部, 腹部である。頸部に生じた症例も少なくないが, その場合には, 胸部, 腹部などにも広範にわたって皮疹が存在することがほとんどであり, 本症例のように頸部に限局した症例は稀である。