西日本皮膚科
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症例
下腿の硬結性紅斑を伴う壊疽性丘疹状結核疹
渋谷 博美片桐 一元新海 浤高安 進
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1992 年 54 巻 3 号 p. 448-452

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抄録

初診の7, 8年前より夏期増悪を示す上肢の壊疽性丘疹状結核疹, 初診の3ヵ月前には下腿にバザン硬結性紅斑を生じた57歳女性の看護助手の1例を報告した。病理組織像では, 瘢痕を残して治癒する上肢の多発性丘疹は, 中心部では表皮が欠損し真皮上層より皮下脂肪織では環状の壊死組織を囲んで類上皮細胞, リンパ球の浸潤がみられた。下腿の硬結では皮下脂肪織の隔壁に結合織の壊死, それを囲んで巨細胞を混じた同様の細胞浸潤, 個々の脂肪細胞間に組織球の浸潤がみられた。ツ反は強陽性であり, 数日後, 紅斑周囲に丘疹を生じた。胸部X線にて陳旧性瘢痕像が認められた。イソニアジド, エタンブトール内服1ヵ月後に皮疹の新生を認めなくなり, 下腿の硬結も色素沈着を残して軽快した。しかし, 薬剤を内服しないことが多くなり, 感冒を契機として皮疹の再燃をみた。現在リファンピシン内服中である。これら二種の結核疹の合併例は, 本邦では最近20年間で自験例を含めて10例の報告がある。その内2例に明らかな活動性結核病巣が発見され, 3例に頸部リンパ節腫脹, 2例に胸部X線にて瘢痕像が認められている。

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© 1992 日本皮膚科学会西部支部
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