西日本皮膚科
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症例
メンケス病
—とくに皮膚症状である捻転毛と白毛について—
富田 靖吉村 達雄根東 義明五十嵐 裕伊藤 祥輔
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1992 年 54 巻 3 号 p. 473-479

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抄録

6ヵ月男児のメンケス病の一例を報告した。本例は低血清銅値と低セルロプラスミン値, 発育不良, 筋痙攣発作などの典型的症状を示した。皮膚症状としては, 頭髪の低色素ないし白髪と捻転毛を示した。これら諸症状は, 銅利用の先天的な欠陥が引き起こした銅酵素群の活性低下によるものである。頭髪のユウメラニンおよびフェオメラニン含量は健常人の半分程度で, 銅酵素であるチロシナーゼの活性低下が示唆された。乳幼児に白髪や捻転毛を示す疾患は限られており, これら頭髪の症状の出現は本症の診断に重要な意味を持つと考える。

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© 1992 日本皮膚科学会西部支部
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