抄録
16例の皮膚混合腫瘍について臨床的, 病理組織学的, 免疫組織化学的検討を行った。病理組織学的に本腫瘍をtubulo-cystic type(TC型)とsyringomatous type(SYR型)に分類した。TC型は13例, SYR型は1例, 両者の合併は2例であった。TC型では管腔内側細胞の断頭分泌, 角質嚢腫や脂腺細胞分化がみられたが, SYR型ではみられなかった。このことはTC型がアポクリン腺に, SYR型がエクリン腺に近いことを示す所見と考えられた。間質の変化では, 軟骨様変化は16例中10例(62.5%)にのみみられ, 他の多くの例では粘液様変化が主体であった。17種の抗体を用いた免疫組織化学的検索ではTC型はアポクリン腺分泌部に, SYR型はエクリン腺分泌部に近い所見であった。管腔外側細胞, 間質細胞, hyaline cell, 軟骨細胞様細胞では上皮性, 間葉性, 神経性の性質が一緒に発現されていると考えられた。