抄録
エトレチナート(芳香族レチノイド)を乾癬患者に内服投与し, その臨床効果と末梢血Tリンパ球サブセットの変動についてLeuシリーズの単クローン抗体で分析した。乾癬患者血中のTリンパ球のサブポピュレーションではhelper/inducer T細胞の占める割合が正常人にくらべ有意に高く, エトレチナート投与後6週間までhelper/inducer T細胞とsuppressor/cytotoxic T細胞の比率が上昇した。この傾向はエトレチナートにより著効を示した症例に顕著で, 無効例ではその変動は認められなかった。エトレチナートによる臨床症状の改善に伴い乾癬患者末梢血中のTリンパ球のサブセットの比率に何らかのエトレチナートの直接的あるいは間接的な作用による変動が生ずることが考えられた。