過去11年間の広範囲熱傷患者39例の創面, 喀痰, 尿, 血液からの検出菌を検討した。全検体中, グラム陽性菌では, S. aureus, Enterococcusの検出頻度が高く, グラム陰性菌では, P. aeruginosa, K. pneumoniae, Enterobacterが高頻度であり, 経年的には大きな変化は認められなかった。検体別にみると, 創面と喀痰からの分離菌相は類似していたが, 尿ではグラム陰性菌, 真菌の検出頻度が高く, かなりの相違がみられた。抗生物質に対する感受性は各菌種とも明らかな経年的低下傾向はなかった。また, S. aureus, P. aeruginosaでは受傷2週以内に比べ3週以降での耐性菌検出率が増加していた。