西日本皮膚科
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症例
エトレチナート内服を行った水疱型先天性魚鱗癬様紅皮症の長期観察例
長田 和子清島 真理子鹿野 由紀子森 俊二福島 信夫
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1992 年 54 巻 4 号 p. 678-682

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抄録

5歳男児。初診: 昭和55年9月22日, 出生時より全身の紅斑, 落屑がみられ, 水疱形成, 糜爛を伴う皮膚症状を呈していた。身長107cm, 体重15.8kg。理学的には異常なく, 発育も-2SD以内で特に遅延していない。骨の発育も正常。組織学的に水疱型先天性魚鱗癬様紅皮症と診断されエトレチナート1mg/kgより内服を開始した。約2∼4週間で著効を示し, その後は0.7-1mg/kg/日の投与量で維持している。エトレチナート総投与量は現在までのところは75.5gである。エトレチナート内服を10年以上行い経過を観察しているが, 骨単純X線写真上特に異常所見を認めない。また, 血清アルカリフォスファターゼ, トランスアミナーゼ, Ca, P, Mgも異常値を示していない。このようにエトレチナートにより皮膚症状も寛解状態であり良好なコントロールを得た水疱型先天性魚鱗癬様紅皮症の男児例を報告した。

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© 1992 日本皮膚科学会西部支部
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