西日本皮膚科
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治療
皮膚真菌症に対するTJN-318クリームとビフォナゾールクリームとの二重盲検比較試験
TJN-318クリーム研究班
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1992 年 54 巻 5 号 p. 977-992

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抄録

TJN-318クリームの皮膚真菌症に対する有用性を検討することを目的として, 41施設よりなる研究班を組織し, 皮膚所見の改善, 真菌学的効果および安全性を指標に, ビフォナゾールクリームを対照薬として二重盲検法による比較臨床試験を実施した。対象は, 初診時直接鏡検により菌陽性と判定され, 足白癬(趾間型および小水疱型), 生毛部白癬(体部白癬および股部白癬), 皮膚カンジダ症(カンジダ性間擦疹およびカンジダ性指間糜爛症)あるいは癜風と診断された患者とし, 1日1回の塗布による治療効果を検討した。治験薬あるいは対照薬は, 合計960例に投与され, 不採用例とされた98例を除く862例について安全性を, 774例について有効性および有用性を評価した。評価にあたっては, 従来行われている有意差検定に加えて同等性検定を採用し, TJN-318ならびにビフォナゾール両群の同等性についても統計学的に証明することを試みた。本治験の実施により, 両群ともに良好な治療効果が確認され, 有意差検定においては, 皮膚所見, 菌所見, 有効性および有用性について両群間に統計学的な有意差は認められなかった。また, TJN-318群は, 有用性の同等性検定において, すべての対象疾患でビフォナゾール(BFZ)群との同等性が検証された(Δ=5または10%; p<0.05)。副作用についても両群間に有意差は認められなかった。またその発現率はTJN-318群で0.90%(442例中4例), BFZ群で0.71%(420例中3例)と低いものであった。以上の成績より, TJN-318クリームはビフォナゾールクリームと同等の効果ならびに安全性が期待でき, 外用抗真菌薬として皮膚真菌症の治療に対し有用な薬剤であると考えられた。

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© 1992 日本皮膚科学会西部支部
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