西日本皮膚科
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研究
血管新生における血管内皮細胞アクチン骨格の意義
—培養内皮細胞を用いた検討—
有沢 祥子有沢 富康浅井 淳平
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1992 年 54 巻 6 号 p. 1098-1104

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抄録

血管新生における内皮細胞内アクチン骨格形成の重要性につき, 牛大動脈由来培養内皮細胞を用い検討した。対数増殖期における内皮細胞では, 細胞を縦断するように, または細胞の中心から辺縁に向かって放射状に, 十分に発達したアクチン線維が観察された。Cytochalasin Bで処理することにより, 用量反応性に細胞の伸展不良, アクチン線維の形成阻害が観察され, 10-6Mにおいてはほとんどすべての細胞に, 細胞の円形化とアクチンの凝集像が観察された。一方, matrigelを用いた3次元培養では, 内皮細胞は培養開始7日目にほぼプレート全域にわたる内皮細胞networkを形成した。Cytochalasin Bは10-8M以上の濃度では, network形成を有意に抑制したが, 10-6Mでは細胞増殖も阻害されたのに比し, 10-8Mでは細胞は敷石状の増殖を示した。以上の結果より, 血管新生において内皮細胞アクチン骨格の形成が重要であることが結論された。

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© 1992 日本皮膚科学会西部支部
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