西日本皮膚科
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研究
鼻翼部基底細胞上皮腫の手術方法の検討
広瀬 寮二堀 真本田 実伯川 純一田中 敬一前田 啓介
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1992 年 54 巻 6 号 p. 1118-1124

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抄録

基底細胞上皮腫(BCE)は, 1986年から1990年の5年間に長崎大学附属病院において105名, 133個を数え, 皮膚悪性腫瘍中第1位を占めたが, そのうち15%は鼻翼部であった。そこで鼻翼部に生じたBCEの自験4症例につき, 鼻翼再建を含めた適切な手術法について検討した。まず手術前にnasofacial grooveとalar marginが腫瘍切除により消失するか否かを決定した。通常surgical marginは4mmとしているが, 上記2つの部位のいずれかの温存が可能ならば, 2-3mm marginを容認し, 腫瘍の直径が5mmを越す場合は粘膜面を含め鼻翼部の皮膚全層を切除した。鼻翼再建法としては, もっとも有用性が高いとされるnasolabial cheek flapを基本作図とし, transpositionあるいはsubcutaneous pedicle flapのいずれかの方法を用いた。鼻腔粘膜面の形成には, 皮弁先端の折返しによるhinge flapを用いると容易であった。また比較的若年者の場合, 皮膚の緊張が強いため, 皮弁基部の捻転によるbulge形成が生じ, 二次手術による修正がしばしば必要であったが, 緊張の弱い老人では, 一次手術のみで満足できる結果が得られた。なお鼻翼粘膜の温存は, 腫瘍取残しによる再発や, 血行障害による手術成績の不良を招来しやすいので, 極力避けるべきと考えた。

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© 1992 日本皮膚科学会西部支部
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