1993 年 55 巻 1 号 p. 13-18
1991年の1年間に北里大学皮膚科を受診し, 遅発性両側性太田母斑様色素斑と診断された11例について検討した。男女比は1:10で圧倒的に女子に多く, 平均発症年齢は36歳であった。家族歴を有する例はなく, 眼球や口腔内の色素沈着を認めた症例は皆無であった。他の真皮メラノサイトーシスを合併した症例は, 後に両側性伊藤母斑を併発した1例, 先行する太田母斑を合併した2例の計3例であった。真皮のメラノサイトは免疫組織化学的にチロジナーゼ, チロジナーゼ関連蛋白-1陽性を呈した。チロジナーゼの抑制因子であるアゼライン酸の外用は一部の症例で有効であり, 色調の減弱が認められた。