1993 年 55 巻 1 号 p. 19-23
ステロイド剤とシクロスポリン(CS)の併用療法が著効を呈した尋常性天疱瘡の1例を報告した。症例: 38歳女子。臨床症状·病理組織学的所見·螢光抗体直接法所見ともに典型的な尋常性天疱瘡。治療および経過: 当初プレドニゾロン(PSL)90mg/日投与により水疱の新生は停止し, 糜爛面の乾燥化が認められた。しかしステロイド精神病のためPSLの減量を余儀なくされ, 病勢は著しく悪化した。このためPSL40mg/日に加えてCS4mg/kg/日を併用したところ, 併用療法開始12日目頃から臨床症状の著しい改善が認められた。CS投与中止後も水疱の新生はなく, PSL10mg/日まで減量し, 退院後10ヵ月を経た現在まで良好な経過をたどっている。