1993 年 55 巻 1 号 p. 61-66
乳幼児期発症型と遅発型のxanthogranulomaの組織像の特徴を検討する目的で, 診断の確定した2歳未満と6歳以上の組織標本をそれぞれ10例ずつ, 年齢を含む一切の臨床情報をマスクして鏡検し, 12項目について評価した後に両群に分けて比較した。その結果, 両者にはそれぞれ一定の傾向のあることが判明した。即ち, 遅発型では表皮が非薄化せず, 表皮基底層の色素沈着増強傾向があり, 好酸球浸潤は伴うが他の炎症細胞浸潤は少なく, 個在性の組織球は少ないが巨細胞, とくにTouton型巨細胞は必見であり, 硬化を伴う線維化を認めるものが多かった。遅発型における以上の傾向は肉芽腫自体より, 病変の場となった真皮結合組織と表皮変化の程度の違いによると思われた。