西日本皮膚科
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症例
螢光顕微鏡所見が有用であったアミロイド苔癬
岡 恵子キョン チンファイ斎藤 文雄野本 雅弘勝俣 道夫野崎 清恵佐々部 正孝柳原 誠
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1993 年 55 巻 2 号 p. 270-274

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抄録

両下腿に生じた自覚症状のないアミロイド苔癬の37歳男子例を報告した。病理組織学的にHE染色所見はアミロイド苔癬として典型的であったが, コンゴー赤染色は光顕, 偏光顕微鏡検査で陰性, ダイロン染色は光顕が弱陽性, 偏光顕微鏡検査は陰性とアミロイド物質の性質に一致しなかった。ところが同じコンゴー赤染色とダイロン染色標本を螢光顕微鏡で観察すると, 沈着物質が橙色の螢光を発した。酵素抗体法による抗アミロイドPコンポーネント抗体, 抗ケラチン抗体の検索でも陽性所見を認め, 電顕所見もアミロイド線維に一致した。以上の結果より沈着物質はアミロイド物質と診断した。入浴時のナイロンタオルの使用を中止し, ステロイド剤の外用治療で皮疹は軽快した。本症の中には螢光顕微鏡検査により初めて診断が可能になる症例もあると考えられた。

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© 1993 日本皮膚科学会西部支部
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