西日本皮膚科
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症例
Linear Porokeratosis
 
川平 正公Shah Ataur RAHMAN宮内 秀明瀬戸山 充田代 正昭
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1993 年 55 巻 3 号 p. 420-424

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抄録

6∼7歳頃から, 右膝のそう痒のある褐色斑で始まり, 右臀部から右下肢に列序性に配列する皮疹を認めた41歳女子のlinear porokeratosisの1例を報告した。また, 正常皮膚とlinear porokeratosisの生検材料を用いて免疫組織化学的検索を行った。その結果, 抗involucrin抗体を用いた染色所見は, 正常皮膚では, 顆粒細胞層と有棘細胞層上部1/3が均一に陽性を呈し, 自験例では, 角層を除いて表皮上層1/3が顆粒状に陽性を示した。抗サイトケラチンAE1抗体を用いた染色では, 正常皮膚で基底層のみ陽性を示したのに対し, 自験例では, cornoid lamellaは陰性, 表皮基底層は陰性, 有棘層は陽性であった。抗サイトケラチンAE3抗体を用いた染色では, 自験例は正常皮膚と同様の所見であったが, cornoid lamellaは陰性, cornoid lamella以外の角層は陽性であった。これらの免疫組織化学的検索によりとくに, cornoid lamella直下の表皮細胞の分化異常が示唆された。

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© 1993 日本皮膚科学会西部支部
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