西日本皮膚科
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症例
高度な骨変形を伴った関節症性乾癬
尹 浩信下妻 道郎
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1993 年 55 巻 5 号 p. 856-860

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抄録

高度な骨変形を伴った62歳女子の関節症性乾癬の1例を報告した。全身の落屑を伴う紅斑を患者自ら梅毒の皮疹と考え, 25年間無治療にて放置していた。初診時, ほぼ全身に銀白色雲母状鱗屑を付着する, 境界明瞭な紅斑が多発, 融合し, 背部では巨大な局面を形成していた。指趾では尺側変位を伴う屈曲変形が認められた。赤沈は著明に亢進し, RA因子は陰性であった。指趾の骨X線像では, 尺側変位を伴う指趾関節の高度の変形, 骨の吸収像がみられ, 骨シンチグラムでは, 四肢関節において多発性対称性に高度な取り込み像が認められ, 胸部では, 左胸肋鎖関節, 肋骨角, 胸椎, 肋骨関節にも多発性に取り込み像が認められた。腹部の紅斑の組織像では, 角質増生, 不全角化がみられ, 表皮は不規則に肥厚し, 表皮突起は棍棒状に延長し, また角質内に好中球の小集合が存在していた。エトレチナート0.5mg/kg内服にて皮疹は軽快した。自験例を含め, 1981年から1992年までに本邦において報告された関節症性乾癬36例の臨床像を解析し, 従来の報告と比較して考察を加えた。

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© 1993 日本皮膚科学会西部支部
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