72歳女性の前胸部に生じた皮膚腺病の1例を報告した。右乳房下部に5∼6年前から存在した皮下結節を摘出したところ, 病理組織学的に乾酪壊死をともなう肉芽腫性病変であった。この時点ではZiehi-Neelsen染色, 分離培養のいずれの方法でも抗酸菌, 真菌などは検出できなかった。その3ヵ月後, 摘出創の近傍に指頭大の皮下結節が生じ, さらに3ヵ月後その皮下結節の直上部皮膚に黄色の膿排出を伴う瘻孔が出現した。膿の培養により小川培地上にコロニーを認めたため抗酸菌同定検査を行い, ヒト型結核菌と同定した。以上の結果より皮膚腺病と診断し, isoniazidおよびrifampicinの併用療法により軽快した。