西日本皮膚科
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症例
先天性前胸部皮下皮様瘻孔(仮称)
松永 若利石原 剛安野 佳代子
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1994 年 56 巻 1 号 p. 34-39

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抄録

日常診療において, 先天的に皮膚に瘻孔を有する患者に遭遇することはまれなことではない。その代表的疾患は耳介瘻孔であろうが, 最近, われわれは前胸部の胸鎖関節部の皮膚に小瘻孔を有する症例を18例経験した。多くは膿瘍を合併していて, せつや炎症性粉瘤と誤診しやすい。症例の中には数回にわたって切開排膿を受け, 何度も再発を経験する症例もあった。本症は皮下脂肪組織層で盲端として終わる短い瘻孔であるが, 組織学的には皮下皮様嚢腫と類似している。しかしながら, 皮下皮様嚢腫はいわゆる皮下の閉鎖性の嚢腫であり, 本症は瘻孔である。発生部位や組織所見では両者はきわめて似た疾患といえるが, 臨床的には明らかに異なった疾患と考え, ここに先天性前胸部皮下皮様瘻孔と仮称し報告する。

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© 1994 日本皮膚科学会西部支部
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